盤上の敵 (講談社文庫)

盤上の敵 (講談社文庫)

北村薫というと私のお気に入りの「スキップ」「ターン」「リセット」が有名です。
これらは日常からちょっと外れるお話で、時間をテーマにしたSFです。簡単にいうと、
スキップは、いきなり大人になってしまうお話。
ターンは、一日を何度も繰り返してしまうお話。
リセットは、生まれ変わって出会う二人のお話。
どれもどこか心が温まるような、そんなお話なんですが、
この盤上の敵は・・・作者自らが
「今、物語によって慰めを得たり、安らかな心を得たいという方には、このお話は不向きです」
と、前書きで書くようなお話なのです;
内容は本格的なミステリで、見事に二転三転して、すげぇ。と思わせてくれます。
ただ・・・やっぱりこの世の中にある「どうしようもない悪」の存在が、
中盤以降、非常に重くのしかかってきます。
辛い内容ですが、ミステリファンは読んで損はないと思います。